おもいでの一品

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これ、なんやと思います?もちろん見てわかる通り、コップです。材質はガラスです。撮影機材はiPhoneで、場所は我が家の脱衣スペース。なぜなら、台所が散らかっていたから・・・こんな情報はええか(^_^;)

実はこれ、頂き物です。有難いことにこういう商売しているといろんなものを頂戴することがありますが、これには思い出深いエピソードがあります。

もう何年前になるんかな、6月に福井県は小浜のほうへ師匠と花丸兄さんと3人で行かせていただきました。小浜といえばいわずもがな、あのNHKの朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」の舞台になった町です。その縁あってなのか、小浜はとても落語に力を入れてくださっていて、毎月落語会を開いて下さっているほど。僕も一度出させていただいたことがあります。そんな小浜に初めて行かせていただいたのがその時でした。

まだ入門してすぐのころ。もちろんクルマの運転手は僕でしたが、まだ大阪の道にも慣れていないころ。行く途中、曲がる場所を間違えて師匠に「違うがな!」っと怒られ、花丸兄さんに「まだ時間に余裕はあるから焦らず行こう」っと励まされしながら行ったのを今でもよーく覚えています。この会は確かなんとか記念で、どっかのお寺で落語会でした。たしかその年の春先に師匠が「芸術選奨文部科学大臣賞」という長い名前の賞をいただいて、それを記念しての落語会だったかな?本来の出演者は花丸兄さんと師匠だけ。僕の出番はなしの予定でした。でも、もしかたら僕がお茶子(舞台番)せなあかんかもしれんっと思って、一応衣装は持っていってました。

怒られないようにガチガチになりながらも快調にすっ飛ばし、お昼前には無事に会場に到着。荷物下ろして準備にかかってたら、花丸兄さんが僕が衣装を持ってきているのを見つけて「あっ」っと一言。そして師匠の所へ飛んで行きました。・・・えっ?なにごと!?ボク、ナニカワルイコトシマシタカ?・・・っと冷や汗流しながら荷物持って移動していると、花丸兄さんがやってきて
「愛染くん衣装持ってきているんやったら、師匠からお許しを得たから前で一席やってくれへんかな?」
とのこと。つまり、さっき飛んでいかはったのは、入門したてでまだまだ舞台慣れしていない僕のことを考え、ちょっとでも落語をする機会を与えたいっと思ってすぐに師匠に相談しに行ってくれたのでした。もうそのお心遣いが嬉しくてお涙もの。あ、ありがとうございます(@ @;)

でも、急きょ出演になったらそれはそれで予定外。運営スタッフの皆さんにご迷惑おかけしてしまうなっと思っていたら、代表の方が「こんなこともあるだろうと思って、愛染さんのメクリ、ちゃんと用意しているんですよ。」っと。な、な、なんと・・・もう嬉しすぎて言葉もでないぐらい。「もしかしたらドッキリ違うのか?どこかにカメラが隠してあって、赤ヘルメットかぶってプラカードもったおっちゃんが飛び出してくるん違うか・・・?」と疑ってしまうぐらい。でも、嬉しい!みんな良い人だぁ♪

てなわけで、さも元から出演者みたいな状態にしてもらっていざ開演。このときやったのは十徳でした。もう名人なったんちゃうと思うぐらいみなさん笑ってくれて、さらに深まるドッキリ疑惑(笑)。・・・この文だけみてたらひねくれたヤツですが、そう思ってしまうぐらい事がトントン拍子に進んでいったのでした。
もちろん師匠、花丸兄さんどちらお客さんを笑い殺すんちがうかというぐらい爆笑させ、みなさん大喜びで終演。ちょっとどうぞっということで、その会場で軽いお食事をご用意していただきました。

みなさんでワイワイガヤガヤ言うてると、我々の前に差し出された大中小の箱3つ。大きいのが師匠、中くらいのが花丸兄さん、小さいのが僕にというのです。なんじゃいな?っと思って開けてみますと、それはなんとケーキ!師匠には「芸術選奨受賞お祝い」っと書いてありましたが、はて僕は・・・?っと思っているとスタッフの方が、「愛染さんは今月誕生日ですよね。ちょっと早いですけどお誕生日おめでとうございます♪」っと。・・・す、すごい!!もうドッキリで良い!プラカードいつでも出てこい!もうそんなん気にならん位嬉しい!人生で一番嬉しい!!ただ運転手でついてきただけなのにメクリ用意して落語までさせてもらえて、おまけに誕生日ケーキやなんて、きっとお酒入ってたら号泣してる!みなさん本当にありがとうございます(^^♪(^^♪(^^♪
ちなみに花丸兄さんは「なんにもないけどついでに」って。ちゃんとオチまでついてた(笑)

お客さんを喜ばせないかんのに、逆にこっちが我を忘れて大喜びしてしまった、楽しかったひと時。さぁこれから大阪まで帰りましょうって時に、さらに「皆さんにお土産があります。」・・・まだなにかしてもらえるんですか!?もうVIP待遇すぎて、カメラがどこにあるか探したくらい(^_^;)
その時僕がいただいたのが写真のコップなのです。とってもキレイ☆なんでも、どこかのガラス工房へ行った折にわざわざ手作りで作ってくださったのだとか。嬉しいですね♪

で、よく見ると「愛」の字、心の部分だけ色が違いますね。それは「愛染さんの愛の字には心という字が入ってます。これからも人間として、噺家として心を綺麗に美しく居てほしいので色をかえてみました。」と。
なんだか夏休みにおばあちゃん家に泊まりにいった明くる日の帰る時みたいな、もしくはベストセラー絵本の最後の頁みたいな、もしくは恋愛もの映画のラスト10分のような、もう言葉には言い表せない感動エピソード。嬉しくて心温まるというのはこう言うことかっと実感しました。もうちょっと文才があれば表現できるんでしょうが、とにかく「嬉しい」の一言。もう、とにかく、ほんとに、ありがとうございました♪

嬉しい気持ちとケーキとコップとギャラ(いやらしいな 笑)、そして皆さんの気持ちを胸に、大阪までまたすっ飛ばして帰って行った。そんな6月のある日の出来ごとでした。
それからは何かある度にこのコップを手に取り、あの時の言葉、そしてあの時の嬉しかった気持ちを思いだして、人を喜ばせるために頑張っていこう!そう誓い続けているのであります。

ボチボチ暑くなってきたので、このコップで麦茶でも入れて呑みましょうっと。またお茶入れるとこのコップ雰囲気が変わってなお綺麗なこと。それも楽しみです(*^_^*)

 

ちなみに、ようさん入るので、あんまり飲み過ぎるとトイレが近くなるのが唯一の悩みです(笑)。


出演情報更新してます!よかったら見てくださいまし!

 

おもいでの一品” への1件のコメント
  1. わっこ より:

    こんにちは(^-^)いつも楽しく拝見しています。

    自分の実家が小浜で、素敵なエピソードが嬉しくてコメントしてしまいました。

    私が落語に興味を持ったきっかけが「ちりとてちん」でした。貫地谷しほりが私の来てた制服着てる!とかミーハーな気持ちで見始めましたが、落語自体に興味を持つようになりました(^-^)染丸師匠も出演されてましたね♪

    人を喜ばせるって素敵なお仕事ですね♪これからも楽しみにしています(^-^)

    • Aisome Hayashiya より:

      いつもご覧くださいましてありがとうございます(^^♪
      小浜の人って良い人多いですよね~。みんな優しいしあたたかいし。そういう良いところを見習って頑張り続けていきます!
      また小浜に行ったときには帰省がてら応援に来てくださいね☆

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